ヤーコンの故郷は南米「アンデス高地」で、標高900〜2750m付近で、プレインカ時代から栽培されていた作物です。その後栽培が少なくなっています。ダイエット野菜として、 日本に導入されましたが、この「ヤーコン」に驚くべき「ちから」があることがわかりました。その成分の名前は「フラクトオリコ糖」。ほとんど体内に吸収されず、食物繊維に似た作用をもつこの成分が、 「ヤーコン」には他の作物と比較し圧倒的に多く含まれていることがわかったのです。近年、注目されている生活習慣病等の予防にも殊に有用であると考えられる新しい作物です。

　高い畝にして、4月下旬頃に種芋を植え付ける。土壌はあまり選ばないが、肥沃で排水が良く、耕土の深い所が良い。11月中から12月上旬に収穫する。葉は霜で枯死してしまうが、 凍らなければ塊根には影響ない。葉は抗菌性・殺虫性物質等の生理活性物質が含まれており、無農薬栽培が期待される。地下部に塊根と塊茎の二種類の栄養器官をつくる。塊根は食用（芋）に、塊茎は繁殖用（苗）になる。

　地上部に1.5〜2mほどの高さに生育し、ひまわりのような大型の葉を持ちますが、秋には菊に似た花を咲かせます。地下部には 、サツマイモに似た形状の塊根を10〜20個（1〜6�s）付けます。従って、間隔は広く取ると良い。
○畝幅は90�p以上、株間は50�p以上、畝は高畝

　あり、有機肥料栽培をお勧めしたい。

　関東以西の温暖地では夏になると生育は停滞し、秋、涼しくなると再び活発になります。地上部の生育が回復すると芋の肥大が進み、十月から十二月にかけて急激に肥大し、収量は十二月に最大に達します。ところが温暖地でも夏の涼しい山間地や北海道・東北地方では初霜をみた十一月には収穫しますが、夏にもほぼ順調に生育し温暖地を上回る収量が得られます。関東以西では夏が涼しい年ほど豊作となり、収穫適期も早くなります。

１．低う蝕性（虫歯になりにくい）
２．腸内菌叢の改善（善玉菌が増え→お腹の調子を良くする）
３．脂質改善（中性脂肪、血糖値、血圧などを低下させ血液や血行を正常にする）
４．難消化性（栄養源にならない→ダイエット効果がある）
５．便秘改善（便秘を治し、便通を良くする）

　ヤーコンの塊根(芋）は、水分とフラクトオリゴ糖が多く、蛋白質、脂肪、デンプンが少なくカロリーの少ない特徴を持っています。貯蔵により甘味が増し食べやすくなりますが、 フラクトオリゴ糖は減少します。これは、芋の中のフラクトオリゴ糖が収穫後徐々に、蔗糖や果糖、ブドウ糖に分解されることによります。健康機能性を重視した場合は、収穫後早く食べるのが良いようです。 フラクトオリゴ糖の減少は低温で遅く、高温で早くなります。また、高温で保存すると痛みやすく、保存には低温が適しています。芋は乾きやすく、そのままで保存すると直ぐに萎びてしまいます。 このため、芋に少し水を打ち新聞紙（ポリ袋）等の中で乾燥が妨げます。土を掘り起こし寒さを受けないように室を作り保存するのが良い。また　地上部が枯れた後掘り起こさず、寒さを受けないよう少し土盛りなどをする 簡便な方法もあるようだ。

　葉は猛烈に苦いが、乾燥させお茶のように利用できる。柔らかい葉は天ぷらに食べることが出来る。また湯がいて、水に一晩晒すと苦味がほとんど無くなるので、味噌、醤油、 １夜つ漬けの素で美味しい漬物になる。

　南米では葉の部分も若く軟らかい時期は、そのまま、あるいは調理して食用とされている。ヤーコン研究のきっかけは、南米各地で 民間療法的にのまれれている混合ハーブ茶「オロ・ベルデ」の紹介をうけたことに始まる。南米では、このお茶が糖尿病や高血圧に効果があると言われ、広く飲まれていた。早速このハーブ茶の薬理学的活性を調べたところ、 血糖値の上昇を抑制する効果が認められた。しかも「オロ・ベルデ」の中でも、その中に配合されているヤーコンに強い活性が認められた。従って葉を乾燥させお茶として飲むと、この効果が期待出来る。

　ヤーコンは食材として極めてユニークな特徴をもっています。まず、生芋として食感が独特です。見かけは薩摩芋に似ていますがかじってみると梨と蓮根と大根を足して割ったような感じです。 梨を食べた時のような果汁感がありますが、梨よりも固く、甘味はかすかで爽やかです。調理により、多様な食感の開発が期待可能です。ヤーコンの芋には多くのポリフェノール（アク）が含まれています。 近年、ポリフェノールは人の健康に優れた効果をもつことが明らかにされてきました。しかし、黒変は料理には大敵です。切った材料はすぐに水または酢水に晒します。あるいは熱湯でしばらくゆでます。 ポリフェノールは皮の近くに多いので、皮を厚くむくと黒変は少なくなります．芋には水分が多くほのかな甘味があり、梨のような蓮根のような歯ごたえがあります。 このため、サラダや酢の物等の生食に適し、和え物・炒め物・揚げ物・煮物にと幅広く利用できます。

※写真はメンバーが栽培し収穫したものです。

※本栞は四国農業試験場、三井農林食品総合研究所、女子栄養大学、 全薬工業中央研究所/NPOの緑の会の資料等から抜粋も含め作成＜小暮記＞

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